あっけらかんBEAUTY BLOG

はじめまして、Kai です。日常の美容を楽しみながら、心地良く、明るく、前向きな…想いを届けられますように。

3本脚のキャラと、チンピラのジジの話

いつかずっと書きたいなと思っていた昔の出来事を、今日はちょうど良いタイミングだったので、胸から出して書くことにします。

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  •  25年くらい前
  • 場所 海辺のぼろ家(実家)付近
  • 登場人物 小学校低学年だった私、近所ののら猫キャラ、近所のおじさんジジ
  •  ストーリー その1匹と1人との出来事と思い出

 

もう2人ともこの世にはいないのだけれど、当時のことが、今でもわたしの胸に、潮の香りと共に根強く残っています。

 

 

キャラの紹介

近所ののら猫で、キャラメル色の雌猫だったので、わたしが勝手にキャラと呼んでいました。キャラは、あるとき車に轢かれて後ろの片足を無くしました。その時すぐに病院へ連れて行ったのが次に紹介するジジ。ジジのおかげでキャラは、片足が無くなってからも、けろっとした様子で、家のまえの道路と線路を、3本脚で渡っていました。今思い出すだけでも胸がドキドキとヒヤヒヤします。

 

キャラの写真。

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尻尾がクルンとしていて私に懐いていました。
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そして、当時、左側の白い家に住んでいて、ジジは線路を挟んで右側のアパートに住んでいました。キャラも普段の居場所は、アパート側。この線路と道路を3本脚で渡っていました。普段すごく車が通るわけではないのですが、だからこそ、バイクや車が抜け道として、すごく飛ばして走っていることが度々あり、子どもながらもヒヤッとしていた道です。

ジジの紹介 

ジジは、私の家の向かいにあるアパートの1階に住んでいました。なんでジジなのかは、わからないのですが、当時浜辺の悪イイおっちゃん達にはみんなあだ名がありました。そういえば、小学校から帰るときに、必ず通る焼き鳥屋のビーバーはいつもみかんやら何やらをくれました。真っ黒なおじさん、“ビーバー”も今は天国にいます。

 

ジジの見た目は、黒髪のワンレンロン毛を1本に結び、日焼け真っ黒肌に、胸元の開いた柄シャツ、短パンビーサン、サングラス。そんな感じがデフォルトでした。アパートのベランダ(線路の目の名前)で日焼けが日課。そのため、私が外で一人で遊んでいてもジジの目があるから安心!と母は呑気なことを言っていました。

 

そして時より、すごく綺麗(派手)なお姉さんと道を歩いているジジ。子どもながらにすれ違い際が気まずかったのを覚えています。挨拶とかどうしてたかなあ。

 

毎日ベランダで日焼けをしているジジは、チンピラなのか何なのか。でも、近所の野良猫を可愛がっていて、この風貌で、キャラをすぐ病院へ連れていったのだから、こわいけれど優しい人だと、私は認識していました。

 

ジジとキャラとの思い出

小学校低学年の私は、家の近くの猫を探しては撫でて遊んでいました。そのため、近所の猫を探してしゃがんだり覗いたりしている私を見て、ベランダのジジがフェンス越しに「かいちゃん、ここにいるよ」と声をかけてくれるような関係でした。

 

ある時、3本脚のキャラが妊娠しました。猫の妊娠期間は2ヶ月弱なので、お産まであっという間の出来事でした。お腹の大きなキャラは、とてもお腹を空かせていて、ジジにもらうだけでなく、私にもねだり、家の前で魚の残りや鰹節をあげたことを覚えています。本当に物凄い食への勢いでした。

 

間も無くして、キャラがジジのアパートの近くで、お産をしました。ジジがダンボールで居場所を作ってあげていました。赤ちゃん産まれたらしいよと母づてに聞いたわたしは、線路を渡り、おそるおそるジジのアパートの玄関の方へ様子を伺いに行きました。

 

わたしに気がついて「かいちゃん、おいで」と言ってくれたジジ。

その後の記憶が曖昧なのですが、3本脚で赤ちゃんを運んでいる姿は何となく覚えています。そして、いつの間にかキャラの姿を見ることはなくなり、どのくらいの時が経ったのかもわからないのですが、ジジが亡くなりました。

 

自殺でした。聞いた話では、アパートの部屋の中で、正座をして、両膝を拳銃で撃ってから、頭を撃ったそうです。今でも、パトカーの赤いランプの光に照らされた水色のアパートの壁の色が脳裏に浮かび上がります。

 

1匹と1人の死から考えたこと

片脚を引かれたって「だから何?」という顔で、生を全うした、命を使い切ったキャラ。どんな理由かはわからないけれど、自ら命を絶ったジジ。

 

きっと、ジジは、誰にも言えない心の中の悲しみを、猫と触れ合うことで癒していたのではないかなと思います。私の勝手な思い違いかもしれないけれど。

 

ひたむきに、それを当たり前に、生き抜くことと、死ぬことのあっけなさ。

 

そんな2つのことを感じた幼い頃の私の思い出です。

天国にいるのかな。キャラもまた会いたいな。

 

 

なぜか、このことを思い出すと潮風と匂いと記憶とともに、涙が出そうになります。「ただ生きること」そのことを強く思うからなのか。

 

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 ボロボロの実家の庭から父と私と飼い猫のリッキー

 

潮風は一生分浴びました。

拙い話、お付き合いいただきありがとうございました。

 

かい